渇き。

恐らく今年1番の刺激的な映画なるだろうと期待してましたが、いやぁ劇薬エンタテインメントと謳ってますが、それに恥じない出来だったんじゃないかと。それに加えてR15指定なのに学生早割1000円ってのもどうなのよ(笑) 狂気に次ぐ狂気!キチガイ感漂いまくりの展開・雰囲気はどう評価していいものやら・・・。
藤島加奈子(小松菜奈)の失踪について捜査する加奈子の父でロクデナシの藤島昭和(役所広司)が加奈子の足跡を辿ることで加奈子の正体に触れていく話。ですが、昭和視点だけでなく「ボク」(清水尋也)視点もある上に時系列が結構バラバラだったりするので1回視聴で話の内容を全て把握するのは困難な気ががが。しかし、この作品においてはストーリー展開よりも狂った人間像をどれだけ感じ取るかってのがメインな気がしており、昭和や「ボク」を含め、加奈子に関わったことで全てを狂わされ、それでも加奈子に執着するイカれっぷりは見応えがありました。それに加え演出でも狂気っぷりを感じる場面が多々。暴力シーンでそれにはそぐわない(明るかったり、穏やかな)BGMを使っているとか狂気度が増している印象。R15ってことで去年観たR18の『脳男』と比べたらグロさは劣るものの、1人1人の人物像やそれを強調させる演出は刺激的で良かった。
役所広司を始め、妻夫木聡オダギリジョー中谷美紀など有名な面々。それに加えR指定映画ではよく目にする二階堂ふみがいたりキャストは中々豪華。個人的には正統派な役を演じるイメージのある妻夫木聡の明るく飄々としながらもそこに潜むエグさは好きでした。

主観ですが、加奈子を通して理性を無くした先にある自由の恐ろしさを垣間見たような気がします。たまにこういう映画を観ると自分がいつも見ているものが違った視点で見れるようになったりするから良いんだよなぁ。



評価:★★★★☆
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